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先物取引はめっちゃおもしろい

相場ってどきどきしますぅ〜(第2回提供)
 社会人のキホンは「ほうれんそう」だって、小栗課長に教えてもらったユミちゃん。日本経済新聞に出ていた「エコととうもろこしとナマモノそば」の関係を解き明かすべく、さっそく物識りのマチダ先生のもとに相談に。まず教えてもらったのは、商品取引所でやっている先物取引で決まる先物相場(価格)は、みんなが便利に使える「指標価格」だっていうこと。でも先生は、先物取引にはイロイロな使い道があって、投資にも利用できるんだって言っている。それって、どーいうこと???


マチダ先生 ユミちゃんが知りたいのは、先物取引がどのように投資に役立つのかということだったね。オサダくん。きみは株式投資が弱いそうだけれど、商品先物取引はどうかな?
オサダくん って先生。きついなぁ。もちろんやったことありますよ。1年くらいになるかな。でも、とうもろこしはありません。
マチダ先生 なるほどなるほど。ユミちゃん、実は、先物取引は投資の手段にもなるんだ。ほら、ユミちゃん自身がいちばん初めに「とうもろこしのソバはいまが買いなんですか(>_<)」って言ってたじゃないか。
ゆみチャン あ~そんなハナシもありましたね。
オサダくん オサダくん忘れちゃったの!?
マチダ先生 まあまあ。それで相場好きのオサダくんは、そもそもなんで相場が好きなの?
オサダくん う~ん。あらためて訊かれると難しいなぁ。株取引だと、本来は特定の企業の将来性に投資するということですよね。企業は金融機関よりも低コスト(利子)で資本を調達できるメリットがある。株を買ったボク、つまり投資家は企業の成長に応じて配当を受けられるし、成長の結果として値段(価値)が上がった株式を誰かに転売して、その差額を利益として得られるメリットがある。つまり、おカネが儲かるということでしょうか。とは言っても儲かるばっかりじゃなくて、たまにソンすることもあって、でもまた株取引をしちゃう。
ゆみチャン オサダくんえと、先輩の場合、成長しない企業への投資が得意なんですよね。で、投資しっぱなしになっちゃう。でも株取引をやめないのはなんでですか?
オサダくん 株を買うって、その会社を応援することなんだよね。なんか野球の応援に似ていてさ。例えば常勝球団のファンって、負けるとメガフォンを球場に捨てちゃうじゃない。でもね、ベイスターズファンは絶対にそういうことはしない。かならず持って帰るもの。スワローズファンもそうなんだけれど、あいつらは一歩先行っちゃったよなぁ…。それでね、いつかその日が来るって信じてる。マシンガン打線が火を噴きまくった1998年のシーズンは忘れられないなぁ。石井、波留、鈴木、ローズ、駒田、佐伯…。いい夢みさせてもらったよ。
ゆみチャン 先輩、せ・ん・ぱ・い!そんな遠い眼をしないで下さいよぉ。
マチダ先生 うん。つまりオサダくんにとって相場は、おカネ儲けだけが目的じゃないということになるのかな。
オサダくん そう。そうなんです。だからいまは値洗いでソンが出ていても、長い目で見てあげたいなと。そういう会社こそ助力が必要じゃないかと。
ゆみチャン ふ~ん。そういう考えもあるんだ。そのわりに目がうつろですよね、オサダ先輩の場合。じゃ、センセは?
マチダ先生 ボクかい。ボクはそうだなぁ…。
ゆみチャン あ、センセまで遠い眼。
マチダ先生 オサダくんあれはいまからざっと十と五年前。西暦でいえば1994年から96年末にかけての出来事だった。ピークは96年。それまで1ブッシェルあたり2ドル程度だったとうもろこしが、なんとびっくり、5.5ドルまで急上昇したのさ。あ、1ブッシェルというのは約22キロのことだよ。あれは出来事というよりも事件と呼ぶべきかな。あの頃はボクも若かったものさ。

伏線は93年からあったのかも知れない。ミシシッピー川の氾濫だ。滔々と流れる米国最大の河川ミシシッピー。かのハックルベリー・フィンやトム・ソーヤがほとりで遊んだ、あの大河ミシシッピーが牙を剥いた。そう言えば少しはことの重大性が伝わるだろうか。あの海のような大河があふれれば農場は水浸し。ということは、それまでに育てていたとうもろこしを始めとする農作物はどうなってしまうか。想像力を働かせてほしい。

それで、それまで2ドル程度だったとうもろこしが急激に値段を上げ始める。しかも、その年の冬は米国最大の穀倉地帯で「世界のパンかご」とも呼ばれる中西部が記録的な寒波に見舞われるというおまけもついたんだ。とうもろこし相場は94年初頭にはついに3ドルを超えてきた。わずか1年前の1.5倍さ。しかし94年の作柄は順調。今度は逆に相場が冷やされる。94年末には再び2ドルに逆戻りだ。行って来いということだね。

ところがだ。95年の夏には中西部を熱波が襲う。ボクは実際にシカゴからほど近い農家を訪ねて回ったが、そりゃひどいもんだった。耕作地の地面がひび割れている。水不足。スプリンクラーが回せない。これじゃ育つものも育たない道理さ。あれは7月だったかな。平年なら大人の背丈ほど育つとうもろこしが腰ほどにしかならない。だから相場はどんどん上がる。収穫期の9月には、すでに昨年の高値3ドルを軽く抜き去っていたんだ。

しかし、続きはまだある。中西部の乾燥気候はまったくやむ気配がない。ホット・アンド・ドライと言うんだねぇ、こういうのは。翌96年夏には、農地の水不足は「深刻」を通り越して「壊滅的」と表現されるようになった。農家は何とかしようと、限られた水を作物に施してやる。ところが、水が地面に届くのはほんの一瞬さ。あっという間に蒸発してしまう。まさに雲散霧消の状態。結局、相場は7月に5.54ドルをつけたのさ。
ゆみチャン なんだか農家のヒトがかわいそう。
マチダ先生 オサダくんその時、取引所はどうだったか。実は、日本では1992年に東京穀物商品取引所でとうもろこしの先物取引が始まっていてね。96年の夏は、本当に暑かった。94年の安値は1万1760円。そこから駆けあがっていくんだ。あの時ボクは、穀物部のトレーディングルームで、モニターの前に座っていたさ。トレーダーの連中は、誰もが取引はクールにクールにと思っている。しかし、東京の取引が始まるずっと前からシカゴ市場(シカゴ・ボード・オブ・トレード)の状況が伝わってきている。もちろん、シカゴ市場の価格は棒上げに上げている。わかっているけれど、その状況が電光ボードに表示されると、みんな声を上げずにはいられないんだ。歓声にもため息にも聞こえる、そんな声さ。日本時間では夜中だよ。家に帰ろうなんて言うやつはだれもいなかった。

さて、朝9時になって東京穀物商品取引所の取引が始まる。仮の値段、これを仮約定値(かりやくじょうね)というのだけれど、それがモニターに映し出される。例えば1万8000円なんて具合にね。すると、その値段なら買いだと判断した東京穀物商品取引所のメンバー会社が一斉に注文を取引所に伝えるのさ。メンバー会社には、もちろんお客さん、つまりオサダくんのような投資家や、プロのトレーダーからの買い注文が寄せられている。
だから取引所には○○商品は100枚買い、××フューチャーズは150枚買い…とね、そんな具合に注文が伝えられる。その状況はモニターで瞬時に確認できる。あっという間に売りハナが膨らんでいくからね。あ、「売りハナ」というのは買い注文と売り注文の差で、売りハナは買い注文が不足している状態のことだよ。

これは買いたい希望者に対して売りたい希望者が少ないということ。そこで取引所は売りたい人が出てくるように仮の約定値段を10円ずつ上げていく。それがモニターに映し出される。1万8010円、20円、30円…とね。そんな時にボクの胸の中、いや、日本中でこうやってモニターを見つめている連中の胸の中をのぞいたらどうなっていると思う?
もう、バクバクだよ。きっと血圧はすごいことになっているだろうな。ひょっとしたら逆流しちゃっているかも知れない。
ゆみチャン あ、なんだか、あたしもどきどきしてきましたぁ~。
オサダくん ボ、ボクも。
マチダ先生 だろう。じゃあ、二人の血圧があんまり上がっちゃあ困るから、ちょっとお茶でも入れて来よう。続きはそれからだ。
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